犯罪被害者の遺族に支払われる国の給付金の対象に同性パートナーが含まれるかが争われた裁判で、最高裁は3月に当事者の主張を聞くための弁論を開くことを決めたと、17日にNHKが伝えました。判決を変更するのに必要な弁論が開かれるため、「対象には含まれない」とした2審の判決が見直される可能性が出てきました。
「夫婦同然の関係」と認定されても支給を棄却
名古屋市の内山靖英さん(48)は2014年12月、20年以上同居していた男性パートナーが殺害され、犯罪被害者の遺族を対象とした国の給付金を県の公安委員会に申請しましたが、認められませんでした。事件は、内山さんへのストーカー行為を止めるように男性から注意されたことへの逆恨みが原因で、被告は懲役14年の有罪判決を受け、男性と内山さんとの関係は「夫婦同然の関係」と認定されました。
事件によって、内山さんは精神的な打撃から仕事を退職余儀なくされたうえ、20年以上暮らした住宅が殺害現場となったため、安価で自宅を手放さざるを得ず、経済的にも大きな打撃を受けました。
不服として内山さんが県を相手に起こした裁判では給付金の対象とされている「事実上の婚姻関係にある人」に同性パートナーが含まれるかどうかが争点になり、1審の名古屋地裁は「共同生活をしている同性同士の関係を婚姻関係と同視し得るとの社会通念が形成されていたということはできないという他ない」として請求を棄却する判決を下しました。
2審の名古屋高裁も、「同性間では民法上、婚姻の届け出が想定されていない」などとして訴えを退けたため、内山さんが上告していました。
支給が受けられる遺族の「配偶者」には、性別記載なし
犯罪被害者給付制度では、支給を受けられる遺族の第1位に「配偶者」を挙げています。この「配偶者」には、「事実上婚姻関係と同様の事情にあった人を含む」と明記され、性別は示されていません。
2審判決が見直される可能性も
この裁判について、最高裁第3小法廷の林道晴裁判長は、3月に弁論を開くことを決めました。弁論は判決を変更する際に必要な手続きで、「同性パートナーは給付金の対象には含まれない」とした2審の判決が見直される可能性があります。
参考
NHK www.3.nhk.or.jp/news/html/20240117/k100143244&1000.html
CALL4 call4.jp/info.php?type=items&id=10000067