写真上 エリオット・フォスケット巡査部長代理(左)と同部隊のLGBTQ+ネットワーク戦略責任者エド・ヘイウッドノーブルさん (ノース、ヨークシャー警察提供)
「過去の極度の迫害」について英国全警察の謝罪を求める
人権財団を率いるピーター・タッチェルさんが英国の全警察に対してLGBTQ+コミュニティのメンバーに対する「過去の極度の迫害」について謝罪するよう訴えていましたが、3月初め、これまでで12番目となるノースヨークシャー警察が謝罪を表明しました。
バイセクシュアル男性の署長が謝罪
同警察署長のエリオット・フォスケット巡査部長代理(左)と同部隊のLGBTQ+ネットワーク戦略責任者のエド・ヘイウッドノーブルさんが謝罪しました。フォスケット巡査部長代理は、「LGBTQ+コミュニティのメンバーが歴史的に受けた差別的行為について、心から謝罪する。信頼を再構築するには、過去に警察による容認できない行為の対象となった個人だけでなく、その家族や愛する人、そしてLGBTQ+コミュニティ全体が経験した動揺や苦痛も認識することが重要です。将来に向けてより良い関係を築くためには、過去の不正義を認めることが重要だ」と述べました。
そして、フォスケットさんは「私自身もバイセクシュアルの男性として、LGBTQ+コミュニティが外部と内部の両方で直面し続けている課題のいくつかを理解しています」と付け加え、自身の対応や職員の行動が、警察が「耳を傾け、学び、変化している」ことを示してくれればと語りました。
LGBTQ+コミュニティ連絡担当官を新たに配置
ロンドン警視庁では、警察への信頼を回復するための改革の一環として、12の各警察区に新しく1人ずつLGBTQ+コミュニティ連絡担当官を配置しました。自身を「幸せにカミングアウトしているゲイの男性」と語る、連絡担当官の1人、サム・メイソンさんは、以前はボランティアでその役割を担っていましたが、現在はフルタイムとなっており、ロンドン警視庁の献身的な姿勢を示していると彼は信じています。
しかし、連続殺人犯スティーブン・ポートがゲイの若者4人を殺害した事件の捜査の失敗や、警視庁が組織的に同性愛嫌悪的であると認定した男爵夫人ケイシーの調査など、最近の出来事でロンドン警視庁はLGBTQ+コミュニティの信頼を傷つけています。こうしたことから、ロンドンで毎年恒例のプライドパレード主催者から、昨年は制服警官らに参加しないよう要請するなど関係が悪化していました。
同性愛嫌悪によるヘイトクライムは、5年間で55%増加しています。トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)犯罪は3倍に増加しています。
英国の代表的なLGBT+グループのストーンウオール社の渉外部長、ロビー・デ・サントスさんはプライドパレードに警察を含めることは非常に複雑な問題だと語りました。プライドの歴史は、LGBT+コミュニティに対する警察の扱いに対する抗議に根差しているからです。
写真 人権活動家のピーター・タッチェルさん(ピーター・タッチェル財団サイトより)
「1990年代までは、警察は私たちのコミュニティをターゲットにしており、同意した同性間の行動で人々を逮捕し、バス停でキスしただけで同性カップルを逮捕することさえあった」と人権活動家のピーター・タッチェルさんは語りました。
彼は、今月初めにロンドン警視庁長官のマーク・ローリー卿から、彼が「画期的」と呼ぶ施策を受けとりました。タッチェルさんは「単なるシンボル、ジェスチャーであっても、私たちのコミュニティにとってシンボルは本当に重要です」と述べるとともに、フルタイムのコミュニティ連絡担当官の再導入を歓迎しています。
重要なのはロンドン警視庁を本当に変えること
タッチェルさんは、「これは警察側からの良い兆候だ。ロンドンの黒人コミュニティと女性に対しても同様の行動をとってくれることを願うばかりだ」と評価しながらも、「重要なのはロンドン警視庁を本当に変えることであり、われわれは行動計画を求めており、進捗状況の透明性を求め、市長に対する継続的な政治的説明責任を求めている」と語りました。
参考
BBC https://www.bbc.com/news/uk-england-york-north-yorkshire-68442392
ピーター・タッチェル財団 https://www.petertatchellfoundation.org/reclaim-pride/