写真上 家族とメダル獲得を祝うクロスリー。 (クリスティー・ローリー・クロスリー提供)
8月28日から9月8日までパリで開催されたパラリンピックでは、カミングアウトしたLGBTQオリンピアンが過去最高の44人となり、3年前の東京大会の36人を上回り、メダル獲得数でも29個と東京大会の25個を上回る記録となりました。
チームLGBTQはメダル総数(29個)では16位となり、カナダとインドと同位となります。
パラ水泳のクロスリー選手は1人で5個のメダル
もっともメダルを獲得したのはアメリカのパラ水泳選手クリスティ・レイリー・クロスリー選手で、金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個の計5個のメダルを獲得し、LGBTQであることを公言した選手のトップに立ちました。
人種、宗教、政治的イデオロギーと同じくトランスは差別されるべきでない
また、初のトランスジェンダー・パラリンアンとなったイタリアのヴァレンティナ・ペトリロ選手(50歳)は、14歳の時に心視力が徐々に失われる稀な遺伝性の眼疾患であるスタルガルト病と診断された視覚障がい者で、2015年から18年の間に国内男子(視覚障害T12)で11のタイトルを獲得しています。2018年から妻のサポートを受けながら性別適合ホルモン療法を開始し、昨年の世界パラ陸上選手権では200Mと400M両方で銅メダルを獲得しており、今回のパラ五輪では“不公平だ”などと言われていたにもかかわらず、メダル獲得には至りませんでした。
BBCスポーツとのインタビューでペトリロ選手は、「インクルージョンの重要な象徴。人種、宗教、政治的イデオロギーが差別されるべきではないのと同じように、トランスジェンダーも差別されるべきではない」と答えています。
国際パラ陸委は「トランスジェンダーの競技参加は歓迎される」
世界陸上連盟は昨年、事実上すべてのトランスジェンダー女性の競技参加を禁止しました。一方で、世界パラ陸上競技連盟の規定では、法的に女性と認められている者であればだれでも協議に参加できるとBBCスポーツは伝えています。国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長は、BBCスポーツに対し「スポーツ界は科学を基にしながら、トランスジェンダーのアスリートたちのため
に、よりよい答えを出さなければならない」としつつ、IPCの規定では当面、「ペトリロ選手の競技参加は認められており、他のアスリートたちと同じように歓迎される」と語っています。
閉会式でゲイの芸術監督、DJも活躍
8日の閉会式では、ゲイの芸術監督トマ・ジョリーさんが演出に携わり、20人超のDJが登場して、会場のスタッド・ド・フランスが巨大なクラブと化し、選手たちもノリノリで楽しんでいました。DJの中でもひときわ目立ったのがゲイのDJ・音楽プロデューサー・ダンサー・テレビタレント・LGBTQ活動家のキディ・スマイルさん。ジョージ・マイケルの「An Easier Affair」のMVなどに出演、ヴォーギングのイベントを主催して「フレンチ・プリンス・ヴォーギング」の異名をとるまでになり、ミュージシャンとしても活躍しています。
参考 out sports