写真上 (医学ジャーナリスト協会のHPから)
岡山県内に住むトランスジェンダー当事者の10年間を追ったRSK山陽放送の「地域スペシャルメッセージ」『望まれない性を生きて 臼井崇来人 闘いの十年』が、日本医学ジャーナリスト協会の優秀賞を受賞しました。
NPO日本医学ジャーナリスト協会(M JA J)が質の高い医学・医療ジャーナリズム活動を根付かせることを目的に2012年に創設した「日本医学ジャーナリスト協会賞」は、オリジナリティ、社会へのインパクト、科学性、表現力を選考基準に、毎年受賞作品を選んでいます。今年は、大賞1作品、優秀賞3作品が選ばれ、RSK山陽放送の地域スペシャルメッセージ「望まれない性を生きて 臼井崇来人 闘いの十年」は優秀賞に選ばれました。
手術なしで性別変更申し立てが最高裁で違憲判断までの10年間追う
ゴールデンタイムのテレビドキュメンタリー番組として知られる「RSK地域スペシャル メッセージ」(水「月1回」20:00~20:55)で、5月29日に放送した『望まれない性を生きて 臼井崇来人 闘いの十年』。手術なしで、性別変更を申し立てた岡山県在住のトランスジェンダー当事者・臼井崇来人さんの訴えが最高裁での違憲判断につながるまでの10年を追った作品です。
受賞理由として、「岡山県内の小さな村で農園を営み、妻や息子とつつましく暮らす臼井さん。女性として生まれ、男性の心を持つトランスジェンダーの臼井崇来人さんは、初め、現状のまま静かにしていたかったそうですが、妻の支えで裁判を起こし、『社会の壁』を打ち破る姿勢に変わっていきます。その過程を丁寧に描いている点が、ドキュメンタリー作品として素晴らしい」と評価されました。
性的マイノリティの受け入れが遅れている日本の問題が凝縮
岡山の大学病院にはジェンダー関連疾患の診断や治療をするジェンダーセンターがあり、取材班は、国際的な動きや医学的側面も丁寧に報道。「性的マイノリティの受け入れが遅れている日本での問題が凝縮されている。長期にわたって当事者を撮り続けられたのは取材者への深い信頼なしに不可能。今の時代にインパクトがあり、新しい時代が見えてくる」と高く評価されました。
社会的な弱者に寄り添うジャーナリズムの必要性が訴えられる
都内で18日に行われた第13回(2024年度)の授賞式では、RSK山陽放送の番組制作班を代表して古川豪太記者に賞状とトロフィーが渡されました。式典後には、受賞者らによるシンポジウムも行われ、社会的な弱者に寄り添ったジャーナリズムの必要性などが訴えられたそうです。