松村台東区議のLGBTQ差別発言で 自民会派が議会へ撤回と謝罪、本人厳重注意

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性的少数者(LGBTQ)への理解を進める学校教育をめぐり、東京都台東区の松村智成区議が「(子どもを)同性愛へ誘導しかねない」などと発言した問題で、所属会派の区議会自民党が6日、発言の一部撤回とおわびを議会に申し入れると発表しました。本人には厳重注意したとのことです。

松村区議は、9月20日の区議会定例会の一般質問で、6月に議員立法で成立したLGBT理解増進法について、区の教育現場での取り組みを質問する際に「偏向した教材や偏った指導があれば(子どもを)同性愛へ誘導しかねない」「男性や女性の特徴を軽視するような教育を行っては児童が混乱する」などと発言し、性的少数者について偏見や誤った解釈をもとに持論を展開し差別を助長しました。
10月2日に開かれた区民文教委員会では、LGBTQの当事者や支援者が傍聴する中、立憲民主党とれいわ新選組の会派「台東にじいろの会」や共産区議が「発言はLGBTQの存在そのものの否定につながる」「誤解に基づく発言は許されない」と松村区議の発言を批判。両会派は自民会派に撤回を求める申し入れも行いました。会派「つなぐプロジェクト」の大貫はなこ区議も「LGBTQの方々がジェンダーアイデンティティーを表明しにくいという社会構造を無視した発言で、個人として反対する」と表明しました。副委員長を務める松村区議は出席した委員からこうした発言の撤回や謝罪を繰り返し求められても、最後まで発言することを拒否し、区議会自民党の石塚幹事長も取材には応じませんでした。

ネット署名1日で1000人超え

偏見や差別の拡大懸念から当事者団体や支援者などは同2日夜から、松村区議及び、所属会派の区議会自民党石塚猛幹事長、区教育委員会の三者宛の「LGBTQ+に関する誤った認識を改め、撤回・謝罪を求める」ネット署名を開始。翌3日には1000人を超える署名が寄せられるなど関心が高まっていきました。
差別発言への対応を問われた区議会自民党は6日になって、「配慮に欠ける表現があった。おわびと取り消しを申し出る」と発表し、松村区議を厳重注意したことを明らかにしました。本会議最終日の今月26日に、松村区議が発言の取り消しと謝罪をするとしています。
当事者の権利向上を目指す市民団体「Stand for LGBTQ+Life」は翌7日、台東区議会に近いJR上野駅前で集会を開き、約50人が集まる中、「発言の根本には同性愛は異質だという考えがある」「性的指向は何かに誘導されるものではない」と聴衆に訴えました。ネット署名の呼びかけ人で同団体のメンバーでパンセクシャル当事者の小林美咲さん(30)は「撤回の内容が分からないので評価できない」「いまだに繰り返される差別を終わりにしたい、そのために教育の機会を求めていく」と東京新聞のインタビューに答えています。

参考

松村氏、一切答えず 「同性愛誘導」発言を野党が追及 台東区議会:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

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