黒い服の裁判官3人が入廷して…
正面の扉が開いて、黒い法服を着た裁判官が3人が出てきました。傍聴席を含む全員が起立し、一礼します。まず、弁護団からは以下の8つの準備書面を提出しました。事務的なやり取りですが、意外とフランクなやり取りが裁判官と原告弁護側との間で進みます。
1、同性カップルの子育ての実態
2、国際人権法についての議論
3、LGBT理解増進法の成立など社会情勢の変化について
4、法律が婚姻を認めないことによる社会の差別意識(スティグマ)の醸成について
5、パートナーシップ制度では根本的な解決にならない、ということについて
6、国会での理論が進んでいない現状と裁判官が判決で解決すべきということ
7、婚姻を認めるのであれば、民法の改正でいますぐにできること
8、谷口裁判長の要請に応じた資料
この書面が提出されました。
いよいよ、口頭弁論
その後、原告(控訴人)の2人から裁判長に向けて訴える「口頭弁論」がありました。ここからが本番です。左側の原告(控訴人)席に座っていた西川さんが裁判長の前に進みます。
原告(控訴人)の西川麻実さんは、パートナーの女性と同性カップルで、お互いの子を共同して育てている中での嬉しい場面や苦労話を裁判官に向けて語り始めました。
2人は“普通の”男女の夫婦と同じように協力し合いながら、家庭を運営し、子どもたちを成人させたことを話します。しかし彼女たちふたりは「法律上は赤の他人のままです」と訴えます。谷口裁判長はまっすぐ西川さんを見て目を逸らしません。
西川さんは、パートナーとパートナーの実子は「自慢の家族」と表現します。しかし、家族のことを周囲に言えない場面も多い、と言います。
「職場で休日明けに『きのう何してた?』といった気軽な会話をする時ですら、『どこまで家族のことを言うか』という問題がつきまといます」とし「日々疲弊していく」と訴えます。
また、「子どもにも自分と同じような思いをさせてしまうことがあります」とも話し、「海水浴に行ったときの絵日記では、パートナーと実子たちがカラーではっきりと描かれていますが、私と私の実子らしき人物が薄い色で棒人間として描かれている」と話します。子どもでも世間の空気を読んで、親が同性パートナーと生活していることを言えない、というのは大きなストレスでしょう。西川さんの問いかけ、「『子どもがかわいそう』という人がいますが、この偏見はどこから来るのでしょうか」「なぜ、うちの子ども達が偏見を恐れて家族のことを隠さなくてはならないのでしょうか」は、多くの人に届いて欲しい言葉です。
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