写真上 2日、東京で首脳会談に臨むミツォタキス・ギリシャ首相 ギリシャ大使館HPより(you tube)
ギリシャ議会は15日、キリスト教正教会の信者が多数派を占める国で初となる、同性婚を法制化しました。この日の議会では、賛成が176、反対が76で可決されました。
与党から反対が出ても野党の支援で可決
ギリシャでは同性愛者の親の子どもには法的な地位がないということがこの法案提出の動機となったキリアコス・ミツォタキス首相率いる中道右派の新民主主義党からは、数十人の党員が法案を棄権、または反対票を投じましたが、中道左派4党の支援を受けて可決しました。
キリスト教正教会の影響力が強いギリシャでは、この法案を巡って世論が二分し、正教会トップのイエロニモス大主教は、同性婚の合法化は「祖国の社会的結束を腐らせるものだ」と批判し、法案に抗議する集会などを開きました。
深刻な不平等を大胆に撤廃するもの
ミツォタキス首相は、採決前の討論で「見えない存在だった人々がようやく私たちの周りにも見えるようになった。そうした人々によって、多くの子どもたちがやっと、居場所を見つけられるようになる」と主張、「この改革は、多くの人々の生活から何も奪わずにこの国の仲間たちの生活をよりよくする」と訴えました。同首相は可決後、「深刻な不平等を大胆に撤廃するものだ」と述べました。
代理母通じて親になるには課題も
同性愛者の親たちの「レインボー・ファミリーズ」のステラ・べリア代表は、「歴史的な勝利だ」「歓喜の日だ」とロイター通信の取材に喜びを語りました。
同性婚合法化で、子どもを持つ結婚した同性パートナーに完全な親権を与えるものとなりますが、ギリシャでは同性カップルが代理母を通じて親になることを妨げています。現在は、健康上の理由で子どもを産めない女性のみが代理母の選択肢を利用できます。
EUでは15カ国、全世界で35カ国
欧州連合(EU)では、加盟27カ国のうち、15カ国で同性婚が合法化され、全世界では35か国が同性婚を認めています。南東ヨーロッパでは、ギリシャが初となりました。
キリスト教正教会の影響が強いギリシャで合法化されたことで、今年6月のEU全体の選挙に影響が出る可能性が出てきています。
参考
BBC https://www.bbc.com/japanese/articles/cnlnw8dd9jdo
ロイター通信 lgbtqnation https://www.lgbtqnation.com/