岸田首相が「性自認の否定あってはならない」 トランスバッシング言説で石川大我議員に答弁

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岸田首相は15日の参議院予算委員会で、立憲民主党の石川大我議員の質問に対して、「SNSでの投稿や自治体の質問での誤解に基づく誹謗中傷など、性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別は許されないものであり、自己のアイデンティティで否定されることはあってはならない」と性自認に対する誤解や差別は許されないという考えを明らかにしました。

性自認について、石川議員が「世の中には、性自認が男の人でも自分は女だと言ったら女性と扱われるというデマや、単にその場で言えば女性として扱われるという方もいます。今、発言力がある方の中には、”トランスジェンダーは多様な男性の一類型“であるという誤りや、”トランスジェンダーは存在しない“”性同一障害なんて科学的にあり得ない“といった誤解やデマがSNS上での主張や自治体での質問で出ている」ことについて質し、岸田首相が答えたものです。

ジェンダーを理由に行動制限あってはならない

また石川議員が、「トランスジェンダーはトイレの盗撮など性犯罪者と見分けがつかないから、トランスジェンダーの行動を制限する立法をすべきだ」との主張を例に挙げ、「これは、ある国で日本人のふりをした犯罪があったら日本人が入国を許されなくなるというような理屈がまかり通るようなもの」として、誤解を招くような言説への岸田首相の答弁を求めました。

これについても岸田首相は「トランスジェンダーと自称し、トイレに侵入するような犯罪行為については、現行法令に従い、適切に対応すると承知している。そのうえで、合理的な理由なく、ジェンダーを理由に特定の方々の行動を一律に制限することはあってはならない」とジェンダーを理由とした行動制限を否定しました。

誤解に基づく誹謗中傷、不当な差別あってはならない

さらに石川議員が、昨年5月のG7サミットで「性的マイノリティの人権と基本的自由に対するあらゆる暴力と侵害を強く非難する」首脳コミュニケを議長国として取りまとめ、同12月には、こども基本法に基づいて閣議決定された子ども大綱に「性的指向及びジェンダーアイデンティティによって差別的取り扱いを受けることはあってはならない」と記したことを踏まえ、「犯罪者と見分けがつかない」などの差別は当事者の子どもたちをも苦しめるもので、トランスヘイトの主張に毅然とした対処と決意を求めました。

岸田首相は、「トランスジェンダーに対する誤解に基づく誹謗中傷など、性的指向やジェンダーアイデンティティによる不当な差別はあってはならない」と再び強調しました。

トランスにも適切な医療受けられるよう都道府県に徹底

続いて石川議員が、性同一性障害特例法の要件の一部(手術要件)が昨年、違憲との最高裁判断によって、トランス男性の性別変更が可能になったことで、戸籍性が男性のトランス女性の方でも、女性としての特徴に由来する疾患に罹患した場合、保険適用で治療やレセプトが受けられるという通達を出してほしいと求めました。

武見厚労大臣からは、「性別を理由に診療を行わないことは正当性がないと、トランスジェンダーにも適切な医療を受けられると、都道府県においても病院での立ち入り検査や研修などを行い、不当な取り扱いを受けることがないようお願いし、理解増進法の趣旨を徹底します」との答弁を引き出しました。

憲法違反判決でも同性婚立法化には後ろ向き

また、前日の14日に札幌高裁で同性婚について、該当する民法などの諸規定に対して、地裁に続き再び違憲判決が出たことについて、石川議員が、原告の方たちの「この国で家族として夫婦として生きて行っていいと励まされる判決だった。国会の皆様には賢明な判断をお願いしたい」という声を紹介し、「世界では36か国が認めています。いい加減、同性婚法を導入すべきではないでしょうか」と岸田首相に質しました。

これに岸田首相は「東京地裁は違憲状態、札幌高裁は違憲判断と承知している」としながらも、「政府は、憲法上、当事者双方の性別が同一である場合の婚姻は想定されていない、憲法に違反するものではない。現段階では、同種訴訟が継続していることから引き続き、この判断も注視していきたい」と、違憲状態や違憲判決を認めず、G7首脳コミュニケにも反する後ろ向きの答弁を行いました。

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