写真 大阪高等、地方、簡易裁判所合同庁舎(最高裁HPより)
同性愛を理由に家族から殺されかけた北アフリカ出身の30代男性が、日本での難民認定を求めていた裁判で4日、大阪地裁(徳地淳裁判長)は「家族から危害を受ける現実的な恐れがあり、国の保護を受けられないことが認められる」として、国の「不認定処分」を取り消す判決を下しました。
男性の国は同性愛を禁じるイスラム教の国で、刑法でも同性間の性行為が処罰対象とされています。
父や弟から暴行を受け監禁、警察も「刑務所に入れる」と脅かされ
訴状によると、男性は2018年12月、家族に同性愛者であることを知られて父や弟から暴行を受け、10日間ほど自宅の物置部屋に監禁され、交際相手と逃げた先でも家族の車にひかれそうになり、警察署で事情を話すと「刑務所に入れる」と脅かされたということです。
入管の難民「不認定」処分を大阪地裁が取り消す判決へ
男性は、交際相手とともに日本に逃れ、2020年1月、大阪出入国在留管理局で難民申請したものの、21年2月に「不認定」とされ、不服を申し立てても退けられました。22年7月、不認定の決定取り消しを求めて提訴し、今回、大阪地裁の「不認定処分」取り消し判決となりました。
「人として生きるチャンスくれたらうれしい」
裁判で、国側代理人が「なぜ、リスクを負いながら交際相手と一緒に住んだのか」と聞かれ、かれは「お互い好きな人と一緒に暮らしたいから」と答えましたが、国側は、男性の証言の信用性を否定し、「直ちに迫害を受ける恐れがあるとは認められない」として、訴えを退けるよう求めていました。男性は「母国に帰れば迫害を受ける恐れがある。人として生きるチャンスを与えてくれたらうれしい」と訴えていました。