研修医が病院でレイプ・殺害され、女性たちが抗議デモ インド・コルカタ

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写真上 在日大使館で行われたインド独立記念式典。デモはその前日に行われました。(インド大使館HPより)

インド西ベンガル州のコルカタで9日、国営病院の研修医が、病院内でレイプされ殺されていた事件で、同州では14日、数万人の女性たちが抗議デモを行いました。被害者の研修医(31歳)は9日、RGカル医科大学で36時間の過酷な勤務の後、休憩室が足りなかったため、代わりにセミナー室で眠りました。翌10日同僚が、演壇の上で全身傷だらけで半裸状態の研修医の遺体を発見しました。警察は、容疑者のボランティア病院職員を逮捕しましたが、容疑者が問題がある過去を持っていたにもかかわらず身元調査は行われず、病棟に無制限で出入りできたことなど事件の隠蔽や、捜査上の怠慢があったとして批判を受け、事件は地元警察からインドの連邦中央捜査局に移管されました。
インドで最も古い医科大学の1つであるRGカル医科大学では毎日3500人以上の患者を診察しており、研修医マドゥパルナ・ナンディさんは「病院はいつも私たちの最初の家です。家に帰るのは休む時だけです。こんな危険だとは想像もしませんでした。今回の事件の後、私たちは恐怖を感じています」と語っています。インド中で抗議デモを行った医師たちは、医師を保護するための厳格な連邦法の制定を要求しています。

西ベンガル州の各地で女性たちが雨の中デモ行進

コルカタでは事件が明らかになって以降、強い抗議行動が続き、14日夜に行われた「夜を取り戻せ」デモでは、ソ-シャルメディアでの呼びかけに応え、同市だけでなく西ベンガル州の各地で女性たちが雨の中を行進しました。
BBCによると、真夜中過ぎに13歳の娘を連れてデモ行進に参加した女性は「大規模な抗議行動で物事を正すことができるかどうか、娘に見せたい。自分の権利を自覚させたい」と語りました。
別の女性は「女性は尊重されていない。私たちの価値はヤギ以下だ」と話しました。ある学生は「いつになったら(女性たちは)独立を得られるのか。恐れずに働けるようになるまで、あとどれくらい待たなければならないのか。あと50年?」と訴えました。
当日は、コルカタ以外でもデリー、ハイデラバード、ムンバイ、プネーなどインドの各都市でも小規模の抗議デモが行われました。

デモは性的少数者や性自認持つ人、男性のアライも歓迎して拡大

主催者は、女性だけでなく、社会的に少数派の性的指向や性自認を持つ人々の参加や、「男性はアライ(理解・支援者)やオブザーバーとして」歓迎しました。
インドで「夜を取り戻す」デモが行われたのは、1978年にボンベイ(現在のムンバイ)で、路上で女性がレイプされた事件に抗議する同名のデモが最初でした。当時は、他国の女性たちが公共の場を安心して歩く権利を主張して行ったデモに触発されたものでした。

公衆の面前での少女刺殺事件を眺め、通り過ぎる無神経さ

BBCによると、2023年5月28日には、インドの首都デリーの警察が公衆の面前で友人少女(16歳)を刺殺した疑いで、男性容疑者(20)を逮捕しました。警察によると、少女と容疑者は恋愛関係にあり、事件の数時間前に口論していたとされ、少女が友人の息子の誕生パーティに向かっていたところを襲われました。
監視カメラに残された映像では、容疑者が少女を繰り返し凶器で刺し、大きな石で頭部を押しつぶしているのを、多くの人が眺め、脇を通り過ぎています。この映像がインドでみるみる拡散され、ソ-シャルメディアでは怒りの声が沸き起こりました。
デリー首都政府のアルヴィンド・ケジリワル首相は、「非常に悲しく、残念。犯罪者は怖いもの知らずになっており、警察に対しても恐れていない」とツイートしました。
デリー女性委員会のスワティ・マリワル委員長は「犯行は監視カメラが捉えていた。何人かがこれを見たが、気にしなかった。デリーは女性と少女にとって極めて危険な場所になっている」とANI通信に語りました。
国家女性委員会のレイカ・シャーマ委員長は、今回の犯罪はデリーの人々の「無神経さ」を示していると強調しました。

走行中のバスの中で集団レイプ・殺人に誰も助けず無関心

おぞましい犯罪が発生し、そばにいた人々が無関心だとして非難された事件はインドでこれまでもありました。
2012年12月にデリー市内を走行していたバスの中で、理学療法を学んでいた女子学生(23)が集団レイプされ、その後死亡した事件でも、女子学生と一緒にいて暴行受けた男性は「2人ともけがをして出血していたのに25分くらい誰も立ち止まらず助けてくれなかった」と事件後語っています。

参考  BBC
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