写真上 ウイスコンシン州の集会で発言するトランプ前大統領 pinknews より
11月の大統領選で再選を目指す共和党の大統領候補・トランプ前大統領は、米国の若者が授業中に性別適合手術を受けているとの虚偽の主張を繰り返し、子ども達がトランスジェンダーになるように「訓練」されているという保守派の懸念をさらに煽っています。
学校が子どもの性転換手術を施すと虚偽発言繰り返す
トランプ前大統領はウイスコンシン州で7日に開かれた集会で、トランスジェンダーであることをカミングアウトする若者の数について尋ねられた際に「トランスジェンダーのことは信じられない。考えてみてください。あなたの子どもが学校に行き、数日後に手術を受けて帰ってくるのです。学校があなたの子どもに何が起こるのを決めるのです」という虚偽の主張を繰り返し、さらに民主党大統領候補のカマラ・ハリス副大統領について「カマラは、州が未成年の子どもを親から引き離し、性転換手術を施して家に送り返すことを支持している」と批判しました。
専門家は「トランプの発言は全て間違っている」「学校で手術する人はいない」
トランプ元大統領のこの発言について、イェール大学医学部の小児科助教授で、思春期医療を専門とするメレディス・マクナマラ博士はCNNの取材に対し「トランプの発言は全て間違っている」と指摘したうえで、「どんな種類の手術も学校ではなく、資格を持った医療センターで行われ、特に性別適合手術に関しては、子どもの医療上の決定権は親にあります」と述べています。
全米学校看護師協会のケイト・キング会長はNBCニュースに対し、「学校看護師が子どもに市販薬を与える場合でも、親と医師の許可が必要だ」「学校の教室で手術をする人は絶対にいない」と強調しました。
治療には両親と本人の同意が法的に必要
南カリフォルニア大学の性別適合プログラムの医療ディレクターであるローラ・テイラー博士もCNNの取材に対し、そのような治療には「両親又は法定後見人の同意と18歳未満の青少年の同意が法的に必要」だと述べています。
テイラー博士は、さらに「ホルモン療法の開始や手術を受けるかどうかの決定は、心理社会的評価のための学際的チームとの協議を経て初めて行われる」と付け加えました。そのうえで、「評価には、性別不一致に関連する違和感(本人のアイデンティティと一致しない身体的特徴によって引き起こされる苦痛)を理解すること、そして違和感がどれくらい続いているか、違和感を説明する他の理由を除外すること、そして青少年とその家族がインフォームドコンセントを提供できることを確認することが含まれる」と説明しました。
大統領選挙を意識した保守派有権者向けの発言
トランプ元大統領のこの発言は、共和党が多数派を占めるいくつかの州で性別適合医療がますます受け難くなっている中で、大統領選を意識した一部の保守派有権者向けに発言されたものとの見方があります。
参考
pink news