写真上 世田谷区役所
東京世田谷区と中野区は、同性カップルの住民票の続柄欄に、事実婚と同じ「夫(未届)」「妻(未届)」との表記を11月から実施します。長崎県大村市が今年5月に運用を開始し、関東地方でも認める自治体がありますが、都内では初めてです。全国に先駆けてパートナーシップ宣誓制度を実施してきた世田谷区では、9月18日の区議会でこの問題の検討状況を質した上川あや議員の質問に保坂展人区長は「同様の検討をしてきた中野区などと意見交換して準備してきた。人口92万人を超える世田谷区で実施することは意義深い。11月に開始できるように準備を進めている」と答弁しました。
民間企業の福利厚生で事実婚と同様の扱いも
保坂区長はまた、「同性カップル宣誓書受領書を持っていて希望する人が対象で、あくまでも人権保障上の過渡的措置であり、法的効果があるわけではありません。民間企業の福利厚生などで、事実婚の方と同様の扱いをする場合も出てくると予想されます。社会を一歩でも進めるための布石として意味があると考えました」と述べています。
世田谷区内10か所で交付できるよう調整、中野区も住民票見本など準備
同性カップルをめぐる同様の記載は、関東では栃木県鹿沼市や栃木市、神奈川県横須賀市、逗子市、葉山町で運用を開始しています。
世田谷区では先行自治体への聞き取りを踏まえ、区内10か所の窓口や出張所で証明書を交付できるよう調整するとしています。
また、中野区では、11月に運用を始める方針を固め、住民票の見本を作るなど準備を進めています。
「注視する」岸田政権から石破政権はどう対応するか国民は「注視」
同性パートナーの法的整備をめぐっては、当事者である石川大我参議院議員(立憲)から国会で、先進諸国の趨勢となっている同性婚導入について質問されて、岸田首相や小泉龍司法相とも「注視する」の傍観一点張りで検討もせず、事実婚と同様の住民票記載につても、松本剛明総務相は「住民票は住民基本台帳法で住民の居住関係を公証する資料と位置付けている。実務上の課題が生じる恐れがある」などと述べ、消極的な姿勢に終始してきました。
事実婚と同じ表記を先行して実施している長崎県大村市では「実務上の問題は起きていない」としています。発足したばかりの石破新政権には、こうした流れにどう対処していくのかが注視されています。