「LGBTQ＋差別に反対する小説家の声明」
トランスジェンダー追悼の日の２０日、芥川賞作家の李琴峰さんが発起人となって５１人の小説家が「LGBTQ＋差別に反対する小説家の声明」を発表しました。
声明は、李琴峰さん、山内マリコさん、柚月麻子さんの文責で、石田衣良さん、桐野夏生さんなど計５１人の小説家が賛同者として名を連ねました。
声明では、「近年、LGBTQ＋、とりわけトランスジェンダーの人々を標的にした差別言説が氾濫していることに、私たちは深く心を痛め、憂慮しています。読者の皆さまをはじめ、文芸・出版業界にも、LGBTQ＋当事者の方がいることが言うまでもなく、我々にとって、他人ごとではありません」として、トランスジェンダーを含むLGBTQ＋の人々に対する差別に反対し、連帯と支持を表明しています。
文学が差別や抑圧、排除に加担することがあってはならないと信じている
そのうえで、「文学は、ときに差別や抑圧、排除といった人間の暗い一面を描くこともあります。しかし、すでに社会的に弱い立場に立たされている人々に対し、文学がその生の可能性を狭め、差別や抑圧、排除に加担することはあってはならないと、私たちは信じています」として、文学がLGBTQ＋を含むすべての人に開かれたものになるよう、文学界、出版業界、及び同業者に理解と協力を求める声明となっています。
文芸業界も社会の一部で、他人事ではない
今回の声明は、SNSを中心にトランスジェンダーへの攻撃や誹謗中傷が激しさを増しているなか、李琴峰さんが「文芸業界も社会の一部で、他人事ではない。業界の問題としてアクションを起こそう」と山内さんと柚木さんに声明の取りまとめを呼びかけ、実現したものです。
山内さんと柚木さんは、映画の原作者として映画業界の性暴力の撲滅を求める声明を作家１８人の連名で２０２２年に発表し、２人が会員となっている日本ペンクラブの女性作家委員会で呼びかけ、「性加害のない世界を目指して」と題した宣言を今年９月に発表しているそうです。
李琴峰さんがアウンティングに堪えかねカミングアウト
李琴峰さんは声明発表の２０日夕方、自身のnoteに「李琴峰『トランスジェンダー追悼の日』アウンティングされ声明」との記事を投稿しました。執拗な誹謗中傷・ヘイト・アウンティングに堪えかねてのカミングアウトです。ところが、noteの投稿が何の説明もなく公開停止されたそうです。李さんは改めてfacebookに投稿しています。「秘密を守り、カミングアウトしないまま早めに自死するか、あるいはカミングアウトし、加害者を実名で告発するか」の２択しか残されていないほど、執拗な反トランス活動家に攻撃され続けて苦しんだ末、自死を選ばず、現在、加害者を提訴して裁判が進行中です。
映画監督有志９７人がトランスジェンダーを含むLGBTQ＋差別反対声明
また、李さんが２０日に声明を発表することを知った東海林毅監督が映画監督に呼び掛けて、東海林毅さんを代表に飯塚花笑さん、今井ミカさん、加藤綾佳さん、住本尚子さん、中村真夕さん、深田晃司さん、矢野ほなみさんが発起人となり呼びかけた結果、９７人を超える映画監督が賛同し、同じ趣旨の声明を同じ日の２０日に発表しました。
詳細は以下リンク
「２０２４年１１月２０日 トランスジェンダー追悼の日に」
LGBTQ＋差別に反対する小説家の声明
賛同者（敬称略、五十音順、計５１人）
トランスジェンダーを含むLGBTQ＋差別に反対する映画監督有志の声明
賛同者（五十音順、敬称略、計９７人）
参考 PRIDE JAPAN
