写真上 要望書を受け取る稲森稔尚市長(左) (NHK より)
三重県伊賀市の稲森稔尚市長は3日、来年1月から同性カップルの住民票の続柄欄に、事実婚と同じ「夫(未届け)」「妻(未届け)」と記載できるようにする方針を明らかにしました。伊賀市在住の同性カップルからの要望を受け、11月に就任した稲森稔尚市長が早ければ来年1月に導入することを決めました。
男性カップルは市のパートナーシップ制度導入を機に移住
この日、要望書を出したのは、同市在住の嶋田全宏さん(48)と加納克典さん(45)さんの男性カップルで、同性カップルが住民票上の続柄を事実婚カップルと同様にすることや、全ての小中学校でLGBTQ+(性的少数者)について学ぶ機会を設けることなどを求める内容に対して、稲森市長が応えたものです。2人は、2016年に伊賀市が全国で3番目に同性パートナーシップ証明制度を導入したことをきっかけに大阪市から伊賀市に移住し、同制度の認定を受けていました。
“事実婚と同じ記載ができないのは行政がやっている差別”
朝日新聞によると、総務省は、社会保障制度などの対象となる異性間の事実婚と、対象とならない同性パートナーの表記を同じにすると「社会保障の窓口などで実務上の問題が生じる恐れがある」と指摘しています。
稲森市長は「事実婚と同じ記載が出来ないのは、行政がやっている性的指向を理由とした差別だ」と述べ、「地方自治体の裁量による自治事務であり、(総務省の)見解は、何の拘束力も持たない」と語りました。
性差別などを禁じた県条例の宣誓者以外も対象
稲森市長はまた、性的指向や性自認を理由とした差別や、カミングアウトの強制、本人の秘密を暴露することを禁止した三重県の「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる県づくり条例」(21年施行)の宣誓者以外も対象とする方針も明らかにしました。