写真上 杉野文野JOC理事 HPより
トランプ大統領が5日、バイデン政権が、学校でトランスジェンダーの生徒のスポーツチームへの参加を禁止するのは教育改正法第9編に対する違反だとする規則を制定していたのを覆し、トランスジェンダー選手の女子競技への参加を禁止じる大統領令に署名しました。この大統領令は、指針、規制、法的解釈を提供し、教育省に従わないと考えられる高校について調査するよう指示するものです。
また、2028年に開催されるロサンゼルスオリンピックに向けて、国際オリンピック委員会(IOC)にトランスジェンダーの選手の参加を認めないよう求める考えを示しました。
「LGBTQ+コミュニティに対する差別的なメッセージを発信するもの」
これを受けて、日本オリンピック委員会(JOC)の杉山文野理事が6日、「全てのLGBTQ+コミュニティに対する差別的なメッセージを発信するものであり、スポーツ界全体に負の影響を及ぼす」と深い懸念を表明しました。
元フェンシング女子日本代表でトランスジェンダー男性の杉山理事は「五輪憲章にも明記されているように『全ての個人が差別なくスポーツに参加できる』ことは、国際的に守られるべき基本的人権」だと指摘し、この問題が「政治的な道具として利用されている」と批判し、「トランスジェンダー選手の問題が公平性の名の下に排除の議論へと誘導されることは本来のスポーツが持つ包摂性を損なうことにつながる」と訴えました。
IOC「トランス選手の参加資格に差別がなく、公平で排除されないこと」
IOCは、NHKの取材に対し、「各国際競技団体と協力し、関連当局と様々なトピックについて説明と議論を続けていく」と回答しています。
IOCは、東京大会の後、新たな指針を出しています。トランスジェンダーの選手や「テストステロン」の値が高い女子選手の国際大会への参加資格について、差別がないこと、公平であること、証拠に基づいたアプローチであることなど10項目の基本的な考え方をまとめ、「参加資格は、選手が性のアイデンティティや物理的な性の多様性によって構造的に大会から排除されないことがないように公平性を持って作らなければならない」などとしています。競技における「公平性」については、出場する条件について、「男性の思春期を経験していないこと」を求めるとしています。