同性婚認めない法制度は「憲法違反」 名古屋高裁 2審で4連続「違憲」

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同性同士の婚姻を認めていない現行の民法や戸籍法は憲法に違反するとして、30代の愛知県在住の男性カップルが国に1人当たり100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(片田信宏裁判長)は7日、法の下の平等を定めた憲法14条1項と、個人の尊厳と両性の平等に基づいた家族法の制定を求める24条2項に違反すると判断しました。
その上で、「民法などの規定は憲法違反」とした23年5月の1審・名古屋地裁と同様、国が立法措置を怠ったとは言えないとして国の損害賠償責任を否定し、同性カップル側の控訴を棄却しました。

24年の札幌を始め東京、福岡に続き4件目の「憲法違反」判決

同種の訴訟は全国5地裁に計6件起こされており、高裁判決は、24年の札幌を始め、東京、福岡に続き4件連続で「違憲」判断となりました。憲法の条文ごとの判断では、札幌、東京、福岡の3高裁が24条2項と14条1項に違反すると判断。
さらに札幌高裁は婚姻の自由を保障する24条1項に、福岡高裁は幸福追求権を定めた13条に違反するとしていました。

「個人の尊厳に合理的な根拠を欠く」「性的指向によって差別する取り扱い」

名古屋高裁の片田裁判長は、「同性カップルが法的利益や各種の社会的利益を享受することができず、特に医療行為に関しては、パートナーだけでなく養育している子どもの生命や身体に直結する不利益が想定される」と指摘しました。
その上で、民法などの規定について、「同性カップルが法律婚制度を利用できないと区別しているのは、個人の尊厳の要請に照らして合理的な根拠を欠き、性的指向によって差別する取り扱いだ」として、法の下の平等を定めた憲法14条1項と、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めた憲法24条2項に違反すると判断しました。

「同性婚の法制化は民法の文言変更で足りる」と国の対応促す

さらに「同性婚の法制化は戸籍制度の重大な変更をもたらすものではなく、民法の規定を性別中立的な文言に変更するといった法改正で足り、膨大な立法作業が必要になるとは言えない」などと言及し、国に対応を促しました。
一方、国に損害賠償を求める訴えについては最高裁判所の統一判断が出ていないことなどを理由に退けました。

原告「法律婚の必要性をしっかり説明してくれうれしい」

NHKの取材に原告の1人、鷹見彰一さん(仮名)は「1審判決は、婚姻以外の制度でもいいというニュアンスを含んでいたので、今回、法律婚の必要性をしっかり説明してくれたのがうれしいです。今回の判断は当事者に限らず、これからを生きていく子どもたちにとってもいい判決になったと思います」と話しています。
また、判決で、現在パートナーとともに育てている子どもの不利益についても言及があったことに触れ、「万が一の医療機関での対応が発生した時に、子どもと一緒の入院がスムーズに出来ない、などということがあると思うので、裁判所が真摯に向き合ってくれたことが伝わってきてよかったです」とも話しました。

「法律婚を使えないのが憲法違反」正面から受け止めた判決

弁護団の水谷陽子弁護士は「判決は、パートナーシップ制度などでは法律婚を利用できないことで生じる不利益が解消されないと指摘してくれました。何らかの制度を求めているのではなく、『法律婚を使えないのが憲法違反』だということを正面から受け止めた判決だ」と評価しました。

参考
 毎日新聞
NHK

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